関西電力 闇歴史」カテゴリーアーカイブ

◆関西電力 闇歴史◆071–2◆高浜原発3号機

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◆高浜原発3号機…40年間近でトラブルが続発
 相次ぐ伝熱管損傷も無視
【付 原子力規制検査における対応区分】
【付 原子力規制委員会の検査指摘事項】

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[5] 相次ぐ蒸気発生器細管の減肉、割れ
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【参考…高浜原発の蒸気発生器細管の損傷。検査のたびにみつかる】
(①②~は、高浜3、4号機で発生順の通し番号。すでに8回連続!)
【高浜3号機】
2017年 7月に再稼働
①2018年 8月に 1本
③2020年 1月に 2本
⑤2022年 3月に 4本
⑦2023年10月に 2本
【高浜4号機】→◆071-3◆
2017年 6月に再稼働
②2019年 9月に 5本
④2020年10月に 4本
⑥2022年 6月に12本
⑧2024年 1月に4本

(4)第26回、2023年9月~。2本
…蒸気発生器伝熱管1本が外面の減肉【最大減肉率:63%】、もう1本が内側からの応力腐食割れ
・定期検査において、蒸気発生器伝熱管2本で損傷が発見された。1本で管の厚みが減少しており(外面からの減肉)、1本は内側からの割れ。小型カメラで原因の調査などをするため、2024年1月上旬を予定していた本格運転が遅れる可能性。関西電力は「内側の傷は、加工の際にかかった力により、ひずみができたことが影響したとみられ、外側の傷は、配管の表面にできた鉄の酸化物で削れたとみられる」と発表。伝熱細管損傷は、破断すればメルトダウンを起こしかねない。
・しかし、関電は、これまでと同様の原因推定と小手先の処置のみで、2023年12月22日に再稼働した。

(3)第25回、2022年3月~。4本
…蒸気発生器伝熱管3本が外面の減肉【最大減肉率:57%】。内面で応力腐食割れが1本
・外面の減肉について、摩耗痕のあるスケールは回収できなかったが、各蒸気発生器から採取したスケールの性状、摩耗試験等の調査の結果、スケールによる減肉と推定
【スケールに対する対策】→薬品洗浄の前に小型高圧洗浄装置による洗浄を実施し、薬品洗浄を実施
【規制庁は再稼働優先】
蒸気発生器伝熱管については、2018年、2020年の定期検査においても、同様の減肉があった。規制庁は、「次もやっぱりまだこういう事象が起きる可能性というのは否定できないという感じですよね、それは皆さんもそう思ってられますよね。」との認識で稼働を了承。原子力規制は安全最優先でなく、再稼働優先。

(2)第24回、2020年1月~。2本
…蒸気発生器伝熱管2本が減肉【最大減肉率:56%】。
・AおよびC-蒸気発生器内にガスケットフープ材(ガスケット=固定用シール、フープ=金属製薄帯板)を確認。C-蒸気発生器伝熱管の損傷原因を異物と推定。B-蒸気発生器伝熱管の損傷原因となった異物は流出したものと推定。(蒸気発生器はA~Cの3基設置されている)
【スケールに対する対策】→薬品洗浄を実施(薬液を二次系配管の中をまわし、不純物を除去してスケール付着を防ぐこと、「水質調整」)

(1)第23回、2018年8月~。1本
…蒸気発生器伝熱管1本が減肉【減肉率:20%未満】。
・減肉指示のあった箇所付近にスケール(2次冷却水に含まれる鉄の微粒子が伝熱管に付着したもの)を確認。スケールの回収中に破損したため、スケール以外の異物による減肉と推定。異物は流出したものと推定。しかし、このスケール説には、疑問の意見もある。

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[4] 高浜3号機、トラブル続発で規制委が報告書の提出を求める(2023年8月)
 その後、規制委が約40時間の追加検査を実施する
 また、原子力規制検査における対応区分が引き下げられた
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・高浜3号機では、2022年7月~2023年4月、重大事故に対処する設備でトラブル(運転上の制限の逸脱)が1年間に4件(下記 [3] 印)発生した。このため「原子力規制検査における対応区分」において、「事業者が行う安全活動に軽微な劣化がある状態」とみなされ、追加検査が必要になった。原子力規制委員会は、2023/8/23、関電に対し、再発防止に向けた報告書の提出を求める通知を発出。規制委は関電から報告書を受け取り次第(期限は11月末)、原子力規制庁の検査官により、のべ40時間程度の追加検査を実施し、有効な再発防止策がとられているかなどを確認する。

・また、高浜3号機について、原子力規制検査における対応区分を引き下げた。原子力規制検査では、「事業者の自律的な改善が見込める」とされる第1区分から「発電所の運転が許容されない」とされる第5区分まであり、年1回、各発電所ごとに対応区分が定められている。高浜原発3号機について原子力規制検査における対応区分を1段階引き下げ「規制機関による対応が必要」とされる第2区分とした。対応区分が引き下げられるのは、東京電力の柏崎刈羽原発に続いて2か所目。
【 参 考 】 明日に向けて 守田敏也website
「明日に向けて(2373)……高浜原発3号機に対し原子力規制委員会が「追加検査の対応区分引き下げ」を通告! 超老朽1号機だけでなく3,4号機も危険。関電は高浜原発を全て止めるべきだ!」
こちら

・高浜原発では1、2、4号機でもトラブルが多い。規制委の山中委員長は「高浜原発は労働災害も多く、何らかの組織上の問題があると推測する。一度きちんと見直して、総合的な原因究明をして欲しい」と述べた。
 
◆009◆再稼働を急ぐ老朽原発で、労災人身事故が多発(2019~21年)
◆010◆安全文化の欠如でクレーン倒壊(2017年)
◆021◆蒸気発生器で伝熱細管の損傷が多発(2018~22年、高浜3、4)
◆047◆老朽原発、高浜原発1、2号機運転延長担当の課長が自殺(2016年4月)
◆058◆高浜1、2号機再稼働策動のデタラメ、その1~その3(2021~22年)
◆067◆保安規程違反のまま特重施設を運用(2022年)
◆070◆高浜4号機、並列直後に発電機と原子炉が自動停止(2016年2月29日)

【付 原子力規制検査における対応区分】こちら(2023/8/23現在)
(第1区分)事業者の自律的な改善が見込める状態…下記以外のすべての稼働原発
(第2区分)監視領域の軽微な劣化…高浜3号機
(第3区分)監視領域の劣化…該当なし
(第4区分)複数/繰り返しの監視領域の劣化…柏崎刈羽1~7号機
(第5区分)許容できない管理状態…該当なし

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[3] 重大事故に対処する設備でトラブルが続発
 規制委が再発防止に向けた改善計画の提出を求める(2023年4月)

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 原子力規制委員会は2023/4/25の定例会合で、高浜原発3号機の重大事故に対処する設備でトラブルが相次いでいるとして、関電に対し、再発防止に向けた改善計画の提出を求める(下記のが対象トラブル)方針を確認した。規制委は今後、改善計画の実施状況を確認する約40時間の「追加検査」を実施する。2020年に始まった新検査制度でトラブルの重要度を評価した場合(原子力規制委員会の検査指摘事項)、4段階中3番目の「安全への影響があり、規制関与の下で改善を図るべき水準」にあたるとのこと。

  • 2023/4/22…運転上の制限の逸脱。蒸気発生器水位計のうち、ATWS緩和設備(異常な過度変化時において、原子炉トリップに失敗した場合に原子炉を未臨界にする設備→ こちら )に使用している1系統の指示値が低下(「シグナルセレクタCH除外」の警報)。関電サイト( →こちら)。
  • 2023/4/20…通信事業者による衛星通信回線不具合による衛星電話(携帯)の使用不能。重大事故時に外部と連絡を取る衛星電話が使えなかった。
  • 2023/3/15…原子炉補機冷却水冷却器(原子炉の運転に必要な各系統の機器…ポンプ,冷凍機,熱交換器などの冷却を行う系統。機器の冷却により原子炉補機冷却系に吸収された熱は、原子炉補機海水系との熱交換器を通じて海水へ放出→ こちら )からの冷却水の漏えい。漏えいの可能性があるC原子炉補機冷却水冷却器を詳細に点検した結果、伝熱管1本に微小な貫通穴を確認。また、当該冷却器の伝熱管全数(2810本)について、渦流探傷検査(ECT)を実施。その結果、当該伝熱管1本を含む108本の伝熱管の厚さが判定基準を満足していないことを確認したことから、それらの伝熱管を施栓し、使用しないこととした。
  • 2022/10/30…非常用ディーゼル発電機ターニング装置の不調。非常用ディーゼル発電機の定期的なターニング(ディーゼル機関内の油潤滑を行うため、定期的に主軸を別のモーターを用いて回転させる作業)を実施したが、ターニング完了後、ターニングギアが外れなくなり同発電機を自動起動できなくなった。
  • 2022/7/21…タービン動補助給水ポンプ(外部電源を喪失したときなどに蒸気発生器に給水する重要機器)の周辺の床に、油約8リットルが漏れる。
  • 2022/7/13…原子炉水位伝送器フランジ部からのにじみ漏れ(下記 [2] (6) 参照)
  • 2022/7/6…特定重大事故等対処施設に、必要な部品が取り付けられていなかった。
  • 2022/6/7…使用済燃料ピットエリア監視カメラ(重大事故等時に水位・温度を監視)の動作不能。
  • 2022/3/30…蒸気発生器伝熱管の損傷(下記 [2] (5) 参照)

▼原子炉補機冷却水冷却器こちらによる。

【付 原子力規制委員会の検査指摘事項】
 検査の結果、事業者の活動目的の達成状況が十分でない事項で事業者に指摘する必要があると判断したもの。重要度評価を行い、以下の4つのレベルに分類される。
:安全確保の機能・性能への影響があるが、限定的かつ極めて小さなものであり、
 事業者の是正プログラムにより改善すべき水準。
:安全確保の機能・性能への影響があり、安全裕度の低下は小さいものの、
 規制関与の下で改善を図るべき水準。今回は、このレベル。
:安全確保の機能・性能への影響があり、安全裕度の低下が著しい水準。
:安全確保の機能・性能への影響が大きく、施設の使用などが許容できない水準。

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[2] いろいろなトラブルで再稼働延期(2022年6~7月)
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2022年3月定検~

(4) 7月21日、外部電源を喪失したときなどに蒸気発生器に給水する重要な「タービン動補助給水ポンプ」(→◆025◆)周辺の床に、油約8リットルが漏れる→このため、予定の7/23に再稼働できず。7/23再稼働予定→ポンプのトラブル→7/24再稼働→7/26並列

(3) 7月13日、原子炉容器内にある水位計(原子炉水位伝送器フランジ部)で、放射性物質を含んだ水のにじみ跡を確認。原子炉容器内の水位を確認する伝送器(原子炉容器内部から中央制御室に情報を伝える)の検出部フランジ(配管継手)部で水のにじみ跡が確認された。関電は原因を明らかにせず、部品を取り替えただけ。
 

 
(2) 7月6日、特定重大事故等対処施設で、一部の部品が装着されていないことが判明(高浜4号機でも同様のトラブル)→◆067◆

(1) 6月7日、使用済み燃料ピットエリアにある監視カメラ1台の映像が映らない不具合が起き、機器を交換

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[1] 関西電力「高浜発電所3号炉 高経年化技術評価書(30年目)
 2014年1月」
(→こちら)からみた高浜原発3号機 事故・故障等一覧
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・高浜3号機のトラブルは蒸気発生器伝熱管で多い。その他の内容は調査が必要。
・「高経年化対策に関する報告書」の一覧 →こちら

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原発再稼働に猛進する関電、トラブル続出
「2018~22年度のトラブル 一覧表」、「関電の原発の稼働状況 一覧表」 → ◆071◆

・美浜原発3号機のトラブル → ◆071-1◆
・高浜原発1号機のトラブル → ◆071-6◆
・高浜原発2号機のトラブル → ◆071-7◆
・高浜原発3号機のトラブル → ◆071-2◆(このページ)
・高浜原発4号機のトラブル → ◆071-3◆
・大飯原発3号機のトラブル → ◆071-4◆
・大飯原発4号機のトラブル → ◆071-5◆
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◆070◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆072◆

◆関西電力 闇歴史◆071–1◆美浜原発3号機

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◆美浜原発3号機…老朽原発を再稼働(>_<)
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[1] 2021~23年、再稼動前後
 2021年わずか4か月の稼働中にもトラブル → (2) (3)
 1次冷却材ポンプ封水注入フィルタからの汚染水漏れ(2022年8月)→ (6)
 ホウ酸水注入系の圧力低下(2022年8月)→ (7)

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▲左の1、2号機は廃炉。右端、老朽原発の3号機は再稼働。

(9) 2023/1/2、予備変圧器を経由した外部からの受電ができない状態となった。送電線の一部で停電が発生したことによる。その後、送電線が復旧して予備変圧器に異常がないことを確認したが、運転上の制限の逸脱。

(8) 2022/8/30、前日(22時間前)発表で突如、再稼働の傲慢さ。以下おもな経過。
・5/29「原発のない明日を―老朽原発このまま廃炉!大集会in おおさか―」に2100 人
・7/24…美浜町「老朽原発・美浜 3 号うごかすな!現地全国集会」に300人、町内デモなど
・8/1…封水注入フィルタ装置のボルトが指示どおり締められていなかったことによる放射性物質を含んだ水7トンが漏洩。8/10再稼働予定を延期。→ (6)
・8/10…美浜町「老朽原発・美浜3号再稼働阻止現地緊急行動」に80人。町内デモなど
・8/19…関電は、追加点検の結果を踏まえて工程を判断するという条件で、原子力規制委員会に、23日に再稼働の予定と報告。23日再稼働は、当初は福井県にも知らせず、プレスリリースもなしで再稼働させようとしていた疑い
・8/21…ホウ酸水注入系、アキュムレータの圧力が規定値を下回り、制限逸脱。→ (7)
・8/29…15:00頃、翌日に再稼働するとプレスリリースで発表。発表の翌日に再稼働するのは、極めて異例。前日発表、それも22時間前発表とは、関電の傲慢さ、住民無視、市民無視の悪意を感じさせる。姑息さと臆病さも。デモ申請は72時間前までに必要なので、間に合わない。デモ申の72時間前もおかしい(>_<)が、デモをしないでも、抗議はできる。
・8/30…13:00に、再稼働。美浜原発前、美浜町の関電原子力事業本部前で、緊急の抗議行動。前日の連絡にもかかわらず、30人が参加。

(7)2022/8/21、一次冷却系統のほう酸水注入のための機器の圧力低下→再稼働未定
(ホウ酸水注入系、アキュムレータ=蓄圧機について、目次ページの図→こちら
 ・老朽原発美浜3号機、8/1の放射性物質を含む水7トン漏洩に続いて、8/21また、「運転上の制限」逸脱のトラブル。
・「運転上の制限」(LCO : Limiting Conditions for Operation)逸脱とは、保安規定に定められている機器等に不適合が生じ,一時的に LCOを満足しない状態が発生したこと。事業者は LCO 逸脱を宣言し,あらかじめ定められた時間内に当該機器を復旧させるか,それができない場合は原子炉を停止させるなどの措置を講じなければならない。
・今回は、一次冷却系統のほう酸水注入(これって緊急時の動作)のための機器の圧力が低下。中央制御室で警報が鳴るも、3分で回復し、制限逸脱から回復したという。
・タンクの圧力は正常な数値に戻ったものの、原因は不明で調査中とされていたが、後、作業用の資機材が当たったためと、下請けの責任に転嫁。
・美浜3号機では、昨年、わずか4か月、再稼働されていたときにも、2件の大きなトラブルを起こしている。上記、(2) (3)を参照のこと。
・大事故を未然に防ぐためには、日頃から不注意、不安全な行動による小さなミス、ヒヤリハットが起きないようにすることがきわめて重要。一歩間違えれば大事故が起きる可能性がある原発では、こうした考え方が必須のはず。小さなトラブルも起こさないようにし、起こってしまった場合にも的確な対策を講じることが必要だが、関電は大丈夫か。

【補足–②】
関電のプレスリリースでは、2022年8月29日に、下記記載がある。運転上の制限逸脱のアキュムレータ圧力低下は、作業用足場の資材などが弁に当たっただけ。不注意な下請けが悪い、という感じ。
→関電のプレスリリースはこちら
→関電の運転上の制限に関する情報はこちら

【補足–③】
 一次冷却系統のほう酸水注入のための機器とは…原子炉冷却水喪失事故時など、1次冷却系統の圧力が低下した際には、原子炉の暴走を防ぐために、ほう酸水を1次冷却系統に注入しなければなりませんが、ほう酸水は、逆止弁を介して1次冷却系につながっている蓄圧タンク(アキュムレータ)に蓄えられています。そのタンクの圧力が低下していることが確認されたのです。
 下請け任せの上に、責任感と科学的常識のない、関電および下請けの技術者、作業者、監督者、点検者・・・が原発を動かそうとしています。原発を動かそうとする体制自体が腐敗しているのです。この事態は、一旦、体制全てを解体して、総点検しなければ、改善されません。ただし、体制を根本的に刷新して判断すれば、原発運転は、無理だという結論に至るでしょう。無理な原発を動かそうとするから腐敗が生まれるのかもしれません。「先端科学技術」といわれた原子力は、今や、「腐敗した科学技術」の象徴です。(再処理工場稼働の26回延期、東海再処理工場高レベル廃液処理の中断頻発、もんじゅの廃炉と廃炉作業の遅れ、福島事故炉の廃炉作業の遅れ、使用済み燃料貯蔵地探し期限の再三の延期、原発特重施設の建設の遅れ、などなどもこのことを実証しています。)(「若狭の原発を考える会」木原壯林さんの指摘)

【補足–④】
 ハインリッヒの法則とは…事故の発生についての経験則。1件の重大事故の背後には、重大事故に至らなかった29件の軽微な事故が隠れており、さらにその背後には事故寸前だった300件の異常、いわゆるヒヤリハット(ヒヤリとしたりハッとしたりする危険な状態)が隠れている、というもの。

(6)2022/8/1放射能汚染水7トンが漏洩→再稼働延期
(1次系ポンプ封水注入フィルタについて、目次ページの図→こちら
再稼働予定8/10の直前にトラブル。関電によると、原子炉補助建屋内で、放射性物質を含む水約7,000リットル(7立方メートル、7トン)が漏れた。放射能は220万ベクレルと推定され、外部へは漏れていないという(370万ベクレルを超えると法令上のトラブル扱いとなる)。漏えいがあったのは1次冷却水を循環させるポンプに注入する高圧の封水(「封水」とは、高温・高圧の1次冷却水を原子炉圧力容器に送るポンプから1次冷却水が外部に漏れないようにシールするためにポンプの外側に満たした高圧水のこと)を浄化するフィルターの付近。7/31の点検では漏えいは確認されていなかった。
・同機は10日に再稼働を予定していたが、再稼働は延期。
一次系の汚染水がもれるというのは、たいへんな深刻な事態だ。関電のプレスリリースを読んでも、なぜ一次系の汚染水が漏れたのか、理解不能。新聞記事を読んでも分からない。新聞記者は、関電の発表をそのまま垂れ流すだけでなくて、もっと大事な問題点をきちんと質問してくれないと(>_<)。
・関電のプレスリリース→こちら(この件の図解は最終ページp.17、添付資料7)

【補足–①】
上記、封水注入フィルタ室からの汚染水の漏えいは、2007年に大飯原発1号機で同じようなトラブルが起きている。関電のプレスリリースでは、2007年9月7日に、下記記載がある。
「大飯発電所1号機の原子炉手動停止に伴う点検結果について
(1次冷却材ポンプ封水注入フィルタからの水漏れの原因と対策)」
こちら

(5)2022/6/10、運転再開予定の前倒しを発表
・その後、関電は、10/20に予定していた美浜3号機の運転再開(並列=送電線に接続)を8月12日に前倒しすると発表。再稼働(原子炉起動)は8月10日と推測された。特定重大事故等対処施設の運用開始は、2022年7月下旬という

(4)2021/10/25、特重施設未完で停止
・6/23再稼働から4か月後の10/25、特定重大事故等対処施設の未完で停止せざるをえなくなり、形式的には、定検に入った。運転再開予定は、2022年10/20とされた。

(3)2021/10/6、非常用ディーゼル発電機が停止
・非常用ディーゼル発電機を起動したら、中央制御室で警報が鳴り、自動停止した。保安規定では非常用ディーゼル発電機は2基がいずれも動作することが求められている。
・自動調速装置に不具合があったということで交換。この自動調速装置を設置しているのは高浜1、2号と美浜3号のみで、いずれも中央制御室の制御盤のデジタル化に伴い、手動から自動化する際の作業でミスと分かった。そのミスが分かったのは、高浜2号で点検してみて、同じ事象が発生したから。
・規制委(原子力規制部検査グループ安全規制管理官、実用炉監視担当)「美浜3号は、最初は偶発的ではないかということで収めようとしていたのです。実はうちの事務所(原子力規制事務所)の方でも、これは偶発ではないだろうなと結構いろいろとああだこうだと問いかけをしていて、その間、実は関西電力の方でも、高浜2号でも試験をするので注意深く見てみようということでやったら、(美浜3号と同様に)動いているではないかという話になったということです。」規制委がいろいろ問いかけをして初めて、関電が調査に動いたということで、関電に安全第一という姿勢がみられない。

(2)2021/7/3、フィルターが鉄さびで目詰まり
・蒸気発生器中の2次冷却水が喪失したとき、緊急給水するポンプに大きな圧力がかかるトラブル。関電は、「ポンプ入り口にある金属製のフィルターに鉄さびが詰まったことが原因」としているが、老朽原発を全国に先駆けて動かそうとして準備してきたにも拘らず、鉄さびによる目詰まりにも気づかなかったのか。

(1)2021/6/23、老朽原発として初めて再稼働するもトラブル続出
・2021年6/23、40年超え老朽原発として初めて再稼働。
・しかし、トラブルが続いた。以下、(2) (3)を参照のこと。

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[2] その他、美浜3号機のこれまでのトラブル–別記項目へのリンク
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・老朽美浜3号機、内部告発やトラブルが続く(2021年)→◆033◆
・関電は美浜3号機の使用済み燃料の交換可能年数を2倍に水増し(2021年)→◆031◆
・老朽美浜3号機の「フィルター目詰まり」の重大な意味(2021年)→◆025◆
・美浜原発3号機で 死亡5名、重軽傷6名の重大事故(2004年)→◆004◆
・美浜3号機…建設時、生コンに大量加水、強度検査も不正(2000年)→◆084◆

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[3] 関西電力「美浜発電所3号炉 高経年化技術評価書(40年目)
 2015年11月」
(→こちら)からみた美浜原発3号機 事故・故障等一覧
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・美浜3号機のトラブルはひじょうに多い。それぞれの内容は調査が必要。
・「高経年化対策に関する報告書」の一覧 →こちら

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原発再稼働に猛進する関電、トラブル続出
「2018~22年度のトラブル 一覧表」、「関電の原発の稼働状況 一覧表」 → ◆071◆

・美浜原発3号機のトラブル → ◆071-1◆(このページ)
・高浜原発1号機のトラブル → ◆071-6◆
・高浜原発2号機のトラブル → ◆071-7◆
・高浜原発3号機のトラブル → ◆071-2◆
・高浜原発4号機のトラブル → ◆071-3◆
・大飯原発3号機のトラブル → ◆071-4◆
・大飯原発4号機のトラブル → ◆071-5◆
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◆070◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆072◆

◆関西電力 闇歴史◆071◆


▲関西電力原子力事業本部(美浜町)

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原発再稼働に猛進する関電、トラブル続出
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2018~23年度のトラブル 一覧表
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▲2018~23年度のトラブル一覧表。この表は画像(リンクは入っていません)。表をクリックすると拡大されます。(2023/5/2 のプレスリリースまで)

【「2018~23年度のトラブル 一覧表」の補足説明】
・2018~23年度(2023年度は2023/5/2のプレスリリース掲載分まで)。
・表中、新聞報道はあったものの、プレスリリースに掲載がない(と思われる)労災が2件ある。
 労災ではなくて、私傷病扱いになったのか?
・法令上の位置づけ。*1~*3 は 各月の関電プレスリリースによる。
  *1  法令に基づき国に報告する事象(安全協定の異常時報告事象にも該当する事象)
  *2  安全協定の異常時報告事象
  *3  保全品質情報等
  *4  運転上の制限の逸脱。(~日付)は復旧した日付、その他は即日復旧。
     データはこちら による。
・図解のリンク先
  ※1 関電、原子力発電所の運営状況について(2022/9/2)→こちら
  ※2 関電、原子力発電所の運営状況について(2022/8/1)→こちら
  ※3 関電、安全対策工事における協力会社作業員の労働災害(死亡事故)→こちら
  ※4 関電、高浜発電所4号機 B-加圧器逃がし弁の出口温度上昇について →こちら
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関電の原発の稼働状況 一覧表
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▲関電の原発の稼働状況一覧表。2023/10/26 現在。表をクリックすると拡大。この表は画像。
【「関電の原発の稼働状況 一覧表」の補足説明】
※1建設費は『日本の原子力施設全データ(完全改訂版)』(講談社BLUEBACKS)による
※2 美浜3号機の運転開始は、Wikiでは1976年3月15日となっていたが、その後、訂正。現在の関電広報では1976年12月(日付なし)。朝日新聞東京版1976年12月2日付では1976年12/1から営業運転開始

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「次世代原発」の候補地として取り沙汰されているのは、美浜原発
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 東日本大震災前に進んでいた原発建設計画は、以下の通り。
(1)中国電力…島根原発 3号機(島根・松江市)→着工済
(2)電源開発…大間原発(青森・大間町)→着工済
(3)東京電力…東通原発 1、2号機(青森・東通村)→1号機は着工済・中断
(4)東北電力…浪江・小高原発(福島・浪江町/南相馬市)→計画断念
(5)東北電力…東通原発 2号機(青森・東通村)
(6)日本原電…敦賀原発 3、4号機(福井・敦賀市)
(7)中国電力…上関原発 1、2号機(山口・上関町)
(8)九州電力…川内原発 3号機(鹿児島・薩摩川内市)
(9)中部電力…浜岡原発 6号機(静岡・御前崎市)
(10)関西電力…美浜原発 4号機(福井・美浜町)。報道では、原発回帰の政府内で「次世代原発」の最有力候補地とされる。1、2号機は廃炉作業中。3号機は稼働から40年を超えた老朽原発で、2021年に再稼働されたものの、既に先が見えている。地元の原発推進派は、原発のない町の将来像を描くどころか、さらに原発に浸りきろうとする嗜好を強めている。
【参考サイト】森と暮らすどんぐり倶楽部こちら。美浜町の住民としてブログで「世界の大変動の中で、何を一番警戒するかと言われれば、岸田政権の原発推進路線への転換です。」と語る。

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◆関連リンク(別項目へのリンク)
・加圧水型原発(PWR)の仕組みと最近のトラブル個所 →図解
・蒸気発生器伝熱管 →◆021◆
・再稼働を急ぐ老朽原発で人身事故が多発(2019~21年)→◆009◆
・社長が「労災防止」を誓った3日後にも重傷労災(2020年)→◆008◆
・高浜原発のMOX燃料 ◆003◆【付 (8) 】
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・美浜原発3号機のトラブル → ◆071-1◆
・高浜原発1号機のトラブル → ◆071-6◆
・高浜原発2号機のトラブル → ◆071-7◆
・高浜原発3号機のトラブル → ◆071-2◆
・高浜原発4号機のトラブル → ◆071-3◆
・大飯原発3号機のトラブル → ◆071-4◆
・大飯原発4号機のトラブル → ◆071-5◆
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◆070◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆072◆

◆関西電力 闇歴史◆070◆

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◆高浜4号機、並列直後に発電機と原子炉が自動停止
 報道陣が見守る中、中央制御室に警報が鳴り響く(2016年2月29日)
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 高浜原発4号機は、2016年2月、第20回定期検査中に報道陣の前でとんだ失態を演じ、
3月には大津地裁の仮処分決定で停止を余儀なくされた。

【経 過】

・2/20…1次冷却水が漏れる不具合。原子炉補助建屋の脱塩塔室前(EL10.5m)の床面に水溜り(約2m×約4m×約1mm:約8リットル)を発見。
その後、水溜り(放射能量は約1.4×10(4)Bq(約1.74Bq/cm3×8リットル))(「10(4)」の表記は「10の4乗」を示す)は拭き取り、水溜りのあった箇所は汚染が無いことを確認。
また、漏えいした水については、この水溜り以外にも、床面に漏れた水が原子炉補助建屋サンプ等に回収されたものもあり、これらを全て合わせると約34リットルであり、この放射能量は約6.0×10(4)Bqと評価。関電は、配管の弁のボルトを締め直すなどの対策
以上、関電プレスリリース→こちら

・2/26
…原子炉を起動(再稼働)
・2/27…核分裂が安定して続く「臨界」に達する

・2/29…発電機と送電線をつないで送電を開始する操作(並列)をした途端に、発電機がストップし、原子炉も緊急停止。原子炉は核分裂反応を抑える制御棒48本が自動で挿入されて止まった。発電した電気の電圧を上げる「主変圧器」を保護する検出器が異常な電流を検知したことが原因という。このとき、中央制御室には報道陣も入っていた。関電の公表基準では、今回は「原子炉を停止し、必要な対策を実施」するもので、「速やかに公表」する最高段階のレベル4に相当。なお、関電の姿勢は、『正常に緊急停止したから正常』。

以下、関電プレスリリース→こちら

高浜発電所4号機の原子炉自動停止について(第3報)
 高浜発電所4号機(加圧水型軽水炉:定格出力87.0万kW)は、平成28年2月29日14時01分26秒、並列操作を実施したところ、14時01分26秒、発電機が自動停止し、「主変・発電機内部故障」および「PT(計器用変圧器)故障」の警報が発信し、14時01分27秒タービンおよび原子炉が自動停止しました。
 その後、発電機が自動停止した際、「主変・発電機内部故障」の警報が発信していたため、現地のリレー盤にて、当該警報の発信要素の動作リレーを確認したところ、主変圧器の故障を示す検出回路が動作していることを確認しました。
 その結果、発電機自動停止回路が作動したことから、発電機が自動停止に至ったと考えられます。

・3/9…大津地裁において、高浜発電所3、4号機の再稼動禁止を求める仮処分命令申立てが認められ、高浜原発は停止に追い込まれた。

【映 像】

中央制御室内で警報が鳴り響き、運転員が豊松秀己副社長(当時)(→◆050◆、北新地の「トヨちゃん」)に異常を報告する様子などの YouTube 映像 →こちら

【写 真】

▼関電高浜原発4号機で発送電を開始する作業中に原子炉が停止し、中央制御室で状況を確認する運転員ら(29日午後、福井県高浜町)=代表撮影

◆069◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆071◆

◆関西電力 闇歴史◆069◆

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◆関電本店ビル前行動などに一連の弾圧
 (2012年関西脱原発弾圧事件)

 (1) 関電前「転び公妨」事件(2012年10月5日)
 (2)「転び公妨」事件の際の抗議で逮捕[事後弾圧](2012年11月16日)
 (3) 震災がれき問題で、脱原発の活動家4名を狙い撃ち逮捕(2012年11月13日)
 (4)「がれき反対」無許可デモで業務妨害、逮捕(2012年12月9日)
 (5) 大阪府警の不当逮捕のまとめ
◆関電東海支社ビル前行動弾圧事件(2012年10月29日~→◆068◆
 (関電東海支社事件)
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【2012年、原発再稼働をめぐる攻防】…▲は再稼働推進。◆068◆と同じ内容です

・1月31日、佐賀地裁に、原発なくそう!九州玄海訴訟の提訴
▲2月、3月、原子力安全・保安院、原子力安全委員会は、大飯原発3、4号機の安全性に関する総合評価(ストレステスト)の評価結果を了承
▲4月、野田佳彦総理と枝野幸男経済産業相らが、大飯原発3、4号機の安全性を最終的に確認、再稼働は「妥当」と判断。協議には、細野豪志原発事故担当相、藤村修官房長官、斎藤勁官房副長官、民主党の仙谷由人政調会長代行らも
・5月5日、泊原発3号機が、定期検査で運転停止→初めて全国の原発がすべて停止(同年7月5日に大飯原発3号機が再稼働されるまでの2か月間、原発ゼロであった)
・5月25日、関電の東海支社ビル前で大飯原発再稼働に抗議する初めての抗議行動
・5月30日、鹿児島地裁に、原発なくそう!九州川内訴訟の提訴
・6月12日、大阪地裁に大飯原発差止訴訟[行政訴訟]の提訴(→2020年に勝訴判決)
▲6月16日、民主党政権は大飯原発の再稼働を正式決定
・6月26日、金沢地裁に、志賀原発を廃炉に!訴訟 (金沢訴訟)の提訴
・6月29日(金)、京都での関電京都支店前のキンカン行動が開始
▲7月5日、大飯原発3号機が、新規制基準ができていない中で再稼働
▲7月21日、大飯原発4号機も再稼働。その後、2013年9月15日定期点検のため運転停止。そして、2015年8月11日に川内原発1号機が再稼働(新規制基準による最初の稼働)されるまで、1年11か月、原発ゼロであった
▲9月19日、原子力規制委員会の設置。新規制基準による適合審査→原発再稼働が開始
・10月5日~、関電の大阪本店前での抗議行動などに対し、連続した弾圧
 (関電の大阪本店前での抗議行動は、2011年4月から開始)
・10月29日、関電東海支社ビル前行動に対して、5か月後になって警察が異常な弾圧を開始
 (→◆068◆
・11月29日、京都地裁に大飯原発差止訴訟[民事訴訟]の提訴
・11月30日、福井地裁に大飯原発3、4号機差止請求[民事訴訟]の提訴(→2014年に樋口判決)

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(1) 関電前「転び公妨」事件(2012年10月~)
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【転び公妨】(ころび・こうぼう)…警察官が、被疑者との軽い身体的接触があったとしてあえて転ぶなどして、公務執行妨害罪の名目で逮捕すること。特別公務員職権濫用罪にあたる違法な手法だが、主に公安警察が、他の容疑での逮捕が難しい被疑者を別件逮捕する際に行う。

・2012/10/5…「関電前転び公妨」でAさんが逮捕される
・2012/10/26…起訴。大阪拘置所に長期勾留
・2013/5/24…保釈
・2013/8/26…大阪地裁、無罪判決。「公訴事実については、犯罪の証明がない」
・2014/4/21…控訴審で、有罪判決。その後、最高裁第一小法廷で、執行猶予3年の大阪高裁判決が確定

◆以下、『人民新聞 オンライン』より。→こちら

──弾圧の場になった、関西電力前での抗議行動について教えてください。

毎週金曜日、大阪市北区中之島にある関西電力本店ビル前の南西のエリアで、「反原発」を訴えていました。早い人は朝11時から現地に駆けつけ、午後6時頃から、マイクアピールが始まります。プラカードを持って立ち続ける人もいますし、ビラを撒く人、思い思いの方法で「反原発」を訴える人、話し込む人など、色々です。お盆の時期には、盆踊りもありました。

──逮捕当日の様子は?

毎回、私服姿の警察官6~7人を確認していました。彼らは2人1組で行動して、あちこちに散らばっていたようです。当日は、私服に加えて、制服警察官の姿がありました。今から思えば、弾圧の意図を持って、あらかじめ警察官を動員していたのでしょう。

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(2)「転び公妨」事件の際の抗議で逮捕[事後弾圧](2012年11月~)
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・11/16… 2012/10/5「転び公妨」でっちあげで逮捕されワゴン車で連行される際、不当逮捕であると抗議したMtさんが、公務執行妨害や器物破損に問われ、自宅で令状逮捕
・12/6…起訴、12/14から大阪拘置所へ
・2013/6/14…保釈
・2014/4/28…裁判。「逮捕して7か月間の勾留、懲役10か月」ほどの事件か
 こちら
・2015/3/9…控訴審判決。器物損壊については無罪となり、「公務執行妨害」のみで有罪、懲役6か月執行猶予2年。検察は上告せず。
 こちら

『社会運動情報・阪神』
10・5関電前弾圧、21日控訴審開始と、28日に事後弾圧判決
こちら

『関西大弾圧救援会』
Mtさんに 有罪判決!! ・・4.28大阪地裁
こちら 

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(3) 震災がれき問題で、 脱原発の活動家4名を狙い撃ち逮捕
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・2012/11/13(大阪市此花区がれき焼却受け入れ説明会)。2011年3月の東日本大震災で発生した震災がれきを、全国各地で受け入れて処理する、いわゆる震災がれきの「広域処理」が問題となる。大阪市が計画している「広域処理」に対する反対運動が盛りあがると、反対派の逮捕が相ついだ。

◆以下、「放射能メモ」より。→こちら 
【逮捕の経緯】
此花区民ホールで、19時からガレキ試験焼却の説明会。
ホールのロビーで、「焼却を止めて」と太鼓を叩いて抗議をしていた。
5:30までは、ここはオープンな状態だった。
突然、市の役人が退去しなさいと、プラカードを掲げた。
それから10数分後、前と後ろの出入り口から、機動隊が脱兎のごとく飛び込んできた。
原発反対、ガレキ反対、関電前の不当逮捕に抗議していた4人が狙われて逮捕された。
強制排除なら、まだ理解もできなくはないが逮捕とは。
それも、太鼓を叩いて騒いでいる人には目もくれず、体制に目障りな人を選んでいる。
警官が去った後も、太鼓の音は鳴り響いている。
何のための逮捕かは明白だ。

【逮捕された4人】
関電包囲の主要な活動家のHさん
ガレキ反対の代表のPさん
大阪市役所前のテント村の村長のUさん
テント村の村民のMさん

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(4)「がれき反対」無許可デモで業務妨害、逮捕
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・2012年12月には「がれき反対」無許可デモ(10/17)で大阪駅業務妨害、阪南大准教授ら逮捕

◆以下、「Diamond online」より。→こちら
・関西の広域処理反対運動のリーダー的な存在である阪南大学の下地真樹准教授(愛称「モジモジ先生」)ら3人が逮捕された。下地氏ら2人は20日の拘留後、釈放されたが1人は起訴された。がれき広域処理の反対運動に対する弾圧。

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(5) 大阪府警の不当逮捕のまとめ
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◆以下、「放射能メモ」より。→こちら
 

◆068◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆070◆

◆関西電力 闇歴史◆068◆

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◆関電東海支社ビル前行動に対する弾圧
 (関電東海支社事件)
 2012年5月、大飯原発再稼働に抗議する関西電力東海支社前の初めての行動で
 参加者の2名が関電ビル内に立ち入ったとして
 その後、5か月以上もたって、10月から捜査が始まった
 関電不動産東海支店が被害届
◆関電本店ビル前行動などに一連の弾圧が連続(2012年10月~→◆069◆
 (2012年関西脱原発弾圧事件)
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【2012年、原発再稼働をめぐる攻防】…▲は再稼働推進。◆069◆と同じ内容です

・1月31日、佐賀地裁に、原発なくそう!九州玄海訴訟の提訴
▲2月、3月、原子力安全・保安院、原子力安全委員会は、大飯原発3、4号機の安全性に関する総合評価(ストレステスト)の評価結果を了承
▲4月、野田佳彦総理と枝野幸男経済産業相らが、大飯原発3、4号機の安全性を最終的に確認、再稼働は「妥当」と判断。協議には、細野豪志原発事故担当相、藤村修官房長官、斎藤勁官房副長官、民主党の仙谷由人政調会長代行らも
・5月5日、泊原発3号機が、定期検査で運転停止→初めて全国の原発がすべて停止(同年7月5日に大飯原発3号機が再稼働されるまでの2か月間、原発ゼロであった)
・5月25日、関電の東海支社ビル前で大飯原発再稼働に抗議する初めての抗議行動
・5月30日、鹿児島地裁に、原発なくそう!九州川内訴訟の提訴
・6月12日、大阪地裁に大飯原発差止訴訟[行政訴訟]の提訴(→2020年に勝訴判決)
▲6月16日、民主党政権は大飯原発の再稼働を正式決定
・6月26日、金沢地裁に、志賀原発を廃炉に!訴訟 (金沢訴訟)の提訴
・6月29日(金)、京都での関電京都支店前のキンカン行動が開始
▲7月5日、大飯原発3号機が、新規制基準ができていない中で再稼働
▲7月21日、大飯原発4号機も再稼働。その後、2013年9月15日定期点検のため運転停止。そして、2015年8月11日に川内原発1号機が再稼働(新規制基準による最初の稼働)されるまで、1年11か月、原発ゼロであった
▲9月19日、原子力規制委員会の設置。新規制基準による適合審査→原発再稼働が開始
・10月5日~、関電の大阪本店前での抗議行動などに対し、連続した弾圧(→◆069◆
・10月29日、関電東海支社ビル前行動に対して、5か月後になって警察が異常な弾圧を開始
・11月29日、京都地裁に大飯原発差止訴訟[民事訴訟]の提訴
・11月30日、福井地裁に大飯原発3、4号機差止請求[民事訴訟]の提訴(→2014年に樋口判決)

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◆関電ビル前行動弾圧事件 2012.5.
自由法曹団通信1443号(2013年2月11日)
こちら
関電ビル前抗議行動弾圧事件 ―不起訴を勝ち取る
愛知支部 中谷 雄二 弁護士
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(以下の事件の「経過」は、上記Webサイトより)
(「経過」以外の部分は、上記Webサイト参照のこと)

経 過

1 事件は、2012年5月25日、大飯原発再稼働に抗議する関西電力東海支社前の初めての行動が行われた際、抗議行動に先立って参加者の2名が関電ビル内に立ち入ったことを建造物侵入容疑であるとして、警察からの執拗な呼出から始まった。警察の呼出が始まったのは、10月29日、実に事件から5か月後のことである。任意の出頭要請といいながら十数回にわたる電話と自宅まで4名の警察官が出向いて出頭要請がなされた。

出頭を要請された2人から相談を受けたが、問題とされている事件から5か月も経っての執拗な呼び出しであること、東京や大阪などで逮捕者がでていること、2人の内、1名は行動の呼びかけ人であることから、抗議行動に対する弾圧の可能性があると思われたため、直ちに警察への抗議文の提出と弁護団の編成を計画し、愛知支部の団員に対して、協力を要請した。

2 岐阜支部の団員1名を含む25名が直ちに協力を申し出てくれたため、11月2日、出頭要請を行っている愛知県警東警察署長宛に弁護士25名の連名でFAXで抗議文を送付した。これによって、一週間、完全に警察の足が止まった。11月8日、電話で警察から再度、出頭要請があったため、翌日、その間に集めた30名の弁護人選任届けを付して、弁護士6名で、任意というが実際に行われている出頭要請は、事実上の強制だと抗議し、このような状況が続けば国賠も考えると出頭拒否を通告した。同月12日、弁護団と本人が司法記者クラブにおいて記者会見し、弾圧事件だと訴えたが、記者から警察署への問い合わせはあったようであるが、報道はされなかった。同月16日、警察からは、翌週の平日午後1時から午後5時までの都合の良い時間に出頭するよう警備課長名でハガキによる呼び出しがされた。これを受けて、出頭を拒否した場合に逮捕も予想されること、本人の意向を踏まえて、弁護人付きで、かつ、1時間に限ることを条件付に出頭に応じると弁護人から警備課長に連絡した。結局、警察段階では、1名は1日で取り調べが終わり、もう1名については、2日間で取り調べが終了した。途中、付き添っていった水野幹男団員は、取り調べ途中に1時間が経過したとして、取り調べ室から本人を連れ出し、休憩を取らせるということがあった。警察の取り調べが12月6日に終了したが、12月20日、公安係検事より弁護人を通じて出頭要請があったため、これにも弁護人が付き添って出頭し、一時間の条件付で取り調べに応じた。12月25日、弁護人連名による不起訴要請書を提出した。検察庁における取り調べでは監視ビデオの映像をみせながら、供述との食い違いが追及されたが、翌月16日、不起訴処分(起訴猶予)となった。

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◆週刊金曜日オンライン→こちら
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『週刊金曜日』は、
関電支社を訪問した市民が「建造物侵入」容疑――「運動つぶし」が目的か
として報道。以下のような記載もある。
(竹内一晴・ライター、2012年12月7日号)

・被害届を提出した関電グループ企業、関西電力不動産東海支店の担当者は「当社としてはビルを安全に管理する責任がある。二人は当社の規定に違反する行為があった。今後は入ってほしくないので(時間がだいぶ経過したが)被害届を出した」と言う。

・事件後、5か月以上もたって捜査が始まったのは実に奇異なことだ。担当の東署警備課長も現場に居合わせたというが「現行犯逮捕」は行われなかった。そもそも、株主の1人が会社を訪問しただけで「建造物侵入」としている点など異常さが際立つ。

◆067◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆069◆

◆関西電力 闇歴史◆067◆

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◆各地の原発、保安規程違反のまま特重施設を運用(2022年)
 高浜原発3、4号機も部品未装着で保安規程違反
 原子力規制委員会の審査を通っても原発の安全は確保されていない
 電力会社は特重施設など無駄と思っているのでは
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・伊方3号機で昨年10月から運用を開始した「テロ対策施設」=特定重大事故等対処施設(特重施設)で、部品未装着があった。特重施設の運用を開始した昨年10月から7月7日まで約8か月の間に及ぶ。報道では、複数未装着の部品は「フィルターやパッキンのように一定の頻度で交換する消耗品」とのこと。しかし、設備が動作不能となる恐れがあり、国から認可を受けた保安規定を満たしていなかったことになる。

・特重施設の部品の未装着はこの間、九州電力川内原発1、2号機、関西電力の高浜原発3、4号機でも見つかっている。関電の「運転上の制限の逸脱・復帰情報」では→ こちら
(2022年7月10日報道)

・以下、守田敏也さんのBlog「明日に向けて(2227)」より引用
伊方3号機でテロ対策設備(特重施設)が部品未装着だった!九電、関電も!
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● 電力会社は過酷事故を防げないと思っている

僕はこの「特重施設」が、ひどい矛盾に満ちていると何度も指摘してきました。そもそも「テロ対策施設」と言うけれど、ベント設備などテロではない重大事故への対処施設も含まれているので「騙し」に等しい言い方です。
しかも電力会社は徹底的にと言えるぐらい、作ることを先延ばしにしてきました。その末に運用を開始したら、きちんと部品装着されず「動作不能になるおそれがあった」のです。

そもそも設置が2013年7月に決まりながら、原子力規制委員会が期限を5年も伸ばしたのでした。ところが電力会社がその期限が近づいても全く作らないのを見て、規制委員会は「設置申請から5年」と期限を再延長してしまいました。
電力会社はそれでも作ろうとせず、期限の再々延長を申し入れましたが、規制委員会はたまらずに運転停止を命令。それで実際に2020年3月から九電、関電、四電の原発が次々と停まったのです。

すると各社は突貫工事で施設を作って、原発を再稼働させましたが、そうしたら部品が未装着。これはもう電力会社が特重施設など無駄だと思っているとしか考えられません。「安全確保など無理!」と思っていることが透けて見えます。
それでも原発を動かすなんてものすごいモラル崩壊です。電力会社は過酷事故が起きうるし、その時、特重施設など頼りにならないことなど分かっていながら稼働を続けているのです。
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◆066◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆068◆

◆関西電力 闇歴史◆066◆

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◆関電が風力発電を計画(2022年)→ 宮城県の件は断念、撤回
 宮城県知事、山形県知事「どうして関電なのか」
 宮城県知事は「誠意ない」「明確に反対」
 役場訪問の関電幹部に地元2町長は「白紙撤回を」「京都の嵐山に造ったら」
 自然環境への配慮が著しく欠如、北海道の1件も断念
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【2022年5月に開発計画】

・関電は、5/30に、宮城県1件、北海道4件の合計5件の陸上風力発電所開発を検討開始し、計画段階環境配慮書を公表。以下、いずれも仮称。

【宮城県】
・川崎ウィンドファーム事業… 川崎町。後に計画断念
【北海道】
・伊達・千歳ウィンドファーム事業…伊達市および千歳市。後に計画断念
・古平・仁木・余市ウィンドファーム事業…古平町、仁木町、余市町および共和町
・小樽・赤井川ウィンドファーム事業…小樽市、赤井川村、および余市町
・夕張ウィンドファーム事業…夕張市および栗山町

・日本自然保護協会(NACS-J)は、6/30、これら5件の計画が、他の陸上風力発電事業計画と比べても、自然環境への配慮が著しく欠如していると指摘した。
こちら

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◆宮城県での計画
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【宮城県川崎町で関電が風力発電事業を計画】

・当初計画では、川崎町前川地区の1600ヘクタールに高さ最大約180メートル、直径約160メートルの風車23基を建設する計画。最大出力9万6600キロワット。2028年度の着工、31年度の運転開始を目指すとした。予定地の一部に蔵王国定公園が含まれたため、県環境影響評価技術審査会が計画を疑問視。

・日本自然保護協会(NACS-J)は、自然度の高い広葉樹林、鳥類のバードストライク、土砂災害増大などへの影響が懸念されることから、事業計画を中止するか事業想定区域の抜本的な見直しを求めた。

・関電は6月20日の住民説明会で予定地から蔵王国定公園を外し、風車を19基に減らす方針を明らかにした。県環境影響評価技術審査会の答申では、「蔵王御釜」の展望台から風車が一切見えないように配置し、重要な野鳥の生息地を想定区域から除外することなどが盛り込まれた。

【以下、2022年6~7月の動き】

・宮城県の村井嘉浩知事は、「関西電力が東北にわざわざ出てきてこういったものを設置せずとも、関西でやればいいのではないか」と述べた。度重ねて違和感を表明してきた村井知事は定例記者会見で「蔵王はまさに宮城の誇りで、景観は何物にも代えがたい」「私も反対だ。明確に申し上げる」と述べ明確な反対意思を表明した。

・地元で開かれた住民説明会について、報道機関に原則非公開とした対応について、村井知事は定例記者会見で「誠意が感じられない」と批判した。

・予定地の一部に蔵王国定公園が含まれていたことは、知事も疑問視し、関電は公園を外す方針を明らかにした。知事は「そもそも入れるべきではない。より環境に配慮した計画にしようとする姿勢が見られないという(審査会の)非常に厳しい意見は、もっともだ」と指摘した。

・事業者に意見を表明できる「関係自治体」が川崎町のみとされている点についても「事業者に意見を表明できる「関係自治体」が川崎町のみとされている点についても「関電に対して蔵王町に相談し、丁寧な説明をするよう求めた」と述べた。」と述べた。

・地元の小山修作川崎町長は「関電の対応がもう少し誠実であれば安心できたが、納得できるものではなく、直接知事に伝えるべきだと思った。オープンな場で真摯(しんし)に意見交換を行うことが必要だ。信頼関係なしに計画に納得することはできない」と話した。

・関電の多田隆司執行役常務再生可能エネルギー事業本部長の訪問に対して、川崎町の小山町長は「白紙撤回を求める。他の場所でゼロから始めて」と強い口調で反対の意思を伝えた。同じく蔵王町では、村上英人町長が憤り「京都の嵐山に10基ぐらい造ったらどうか」と声を荒らげる場面もあったという。

【山形県でも反対の声】

・山形県の吉村美栄子知事は「事業者が関西電力と聞いて、どうして関西電力なのかという印象を持った。村井知事の話を知って、同じようなことを考えていると思った」と述べている。「蔵王は全山形県民にとって特別な山」とも。

・山形市の佐藤孝弘市長は7/11、「現在の計画に基づく事業は進めるべきではない」とする意見書を、山形県に提出した。
(宮城県と山形県の南部は、蔵王連峰が境界となっている)

【関電は】

・6月下旬。関西電力は住民説明会で、計画の見直しを強調。関西電力・市橋公平部長「宮城県の審査会で先生のご指摘を真摯に受け止めまして、国定公園エリアの方には設置しないといたしましたので、(最大23基から最大)19基と減らしております」「地元の声をしっかり聞き、計画を進めるかどうかも含めて検討する」
・そして、関西電力・多田隆司常務「私どもが非常に反省しているのは、地域の皆様の蔵王への思いとか、畏敬の念とか、十分ご理解することができていなかった。(環境アセスメントの次の段階である)方法書に進めるかどうか、これも含めて、しっかり考えていきたい」

【つまり】

・原発立地と同じやり方ではないか。関電という会社は、とくに関西で、お殿様(→◆036◆)として特別扱いを受け続けてきて、チヤホヤされてきた。なので、自分の思い通りに進めることしか念頭にないのでは。自分が社会の中でどう見られているか、なんてことには気がついていない。関電のご威光が行き届いていない東北地方なので、社会から当たり前の反応を受けているだけ。
参考→こちら ほか。

【結局、断念して撤回】

・7/29の報道によれば、関電は、宮城・蔵王山麓への風力発電計画を断念して撤回したとのこと。景観への影響などから地元の強い反発があったことから、当然の結果。
・森望 社長「蔵王に対する畏敬の念に十分思いが至らなかった。」

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◆北海道での計画
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【北海道の4件の計画】

 以下、いずれも仮称。
(1) 伊達・千歳ウィンドファーム事業
(2) 古平・仁木・余市ウィンドファーム事業
(3) 小樽・赤井川ウィンドファーム事業
(4) 夕張ウィンドファーム事業


▲関電の風力発電の計画。この地図は画像なので、リンクは入っていません。
支笏洞爺国立公園にかかる「伊達・千歳ウィンドファーム事業」は中止。

・Google地名連動リンク入りの地図(配慮書中の地図)→こちら
こちらの地図では、赤い枠線部をクリックすると、それぞれの名称が表示される。
地図中の今金(いまかね)風力発電事業は、関電ではなくて、インベナジー・ウインド合同会社による。

・日本自然保護協会(NACS-J)は、北海道のそれぞれの事業の計画段階環境配慮書についても意見書を提出。
(1)…イヌワシやクマタカなどの鳥類や自然度の高い広葉樹林への影響、支笏洞爺国立公園への影響が懸念されることから、事業計画の中止を求めている。→後に、宮城県の件とともに断念。
(2)~(3)… 自然度の高い広葉樹林、鳥類のバードストライク、土砂災害増大などへの影響が懸念されることから、事業計画を中止するか事業想定区域の抜本的な見直しを求めている。
(4)…田園景観維持を目指している「栗山町景観計画」への配慮を求めている。

【北海道の市民「北海道の素晴らしい景観を壊さないで!」】

 石狩市在住、佐々木 Minagawa 美保さんのFB投稿(2022年7/2)より。
~北海道に於ける関電ほかによる五ヶ所の風力発電事業への~「意見書」
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 コロナ外出規制等の情報不足の中、関電だけでも四ヶ所もの風発事業が、僅か1ヶ月そこそこの縦覧期間で、全て纏めて、意見書提出期限が6月30日締切の(縦覧最終日と同日)と、それだけでもたいへん不遜な、“意見など聞く余地なし”との企業姿勢が窺えて、その事にまず、厳重に抗議します。
 最初に、私は個人的に風発そのものは、エコエネルギーとして数十年前から着目、理論を超え、感情的にも感性としても大好きでした。
 が、それはあくまでも、人類に利便性をもたらすエネルギーのあり方としてエコロジカルであり、持続可能な生態系を維持する技術であるとの観点からです。しかしながら今回の関電による風発事業は、手付かずの自然が数多く残る「日本全体の宝」とも言える北海道の大開発を伴うものであり、私の思う風力発電とは大きく乖離しており、五つの風発事業のいずれも賛成とは言いかねるもの。
 エコロジカルなビジネス(事業)とは、まず、その地に暮らす人々や動植物との共存等々の質・協力・保全を指向するものでなければならず、エコエネルギーの為に、ある程度の自然破壊も止むなしは、本末転倒甚だしい理屈です。
 そもそも何故自然エネルギーを目指さなければならなくなったかに立ち帰ると、現代の企業活動が、経済的“量の拡大”を求めるあまり、欲しいままの自然破壊と膨大な量のCO2放出を繰り返し、自然の循環性を損ない、生態系のシステムを狂わせてしまったことによる気候変動問題が、根底にあります。
 風発も現在では各種技術開発が進み、大型でもブレードのないもの、又、日本の家屋の庭にでも設置可能なツリー型の安価なものさえあります。 巨大電力会社は長い送電線の無駄を再度検証し、多くの国民に支持されるマイクログリッド構築にこそ、大企業の誇りをかけて取り組むべきと考えます。
 何にも代え難い北海道の自然は関西の一企業のものではない!
 北海道の素晴らしい景観を壊さないで!
 生態系を守り自然を守ることは、人類の未来を守ることにつながり、今回の関電の風発事業は、その真逆の結果をもたらします。
 以上、非常な乱筆乱文、ご容赦!!
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(佐々木 Minagawa 美保さんの了承の元に転載)

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◆関西電力 闇歴史◆065◆

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◆トラブル続きの原発を、前倒し前倒しで稼働させて大丈夫か(2022年)
 原発は、不安定で信頼性のない電源!
 原発をやめて、環境に優しく持続可能性のある社会を展望すべき!

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7/1付、関電のプレスリリース「原子力発電所の運営状況について」→ こちら
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・美浜3……特重施設の設置が期限に間に合わず、10月23日に、わずか4か月間の運転で停止。現在は“定期検査中”となっている。8/12に並列予定(10/20 を前倒した)
(並列:送電網に接続。発電機と送電系統を接続すること)

・高浜3……3/1から定期検査中。度重なる蒸気発生器細管の損傷が大きな問題。高浜3、4号機で5回連続の細管損傷。いつも場当たり的対応だけで、再稼働させてきた。原子力規制委員会も関電も、安全無視の姿勢が甚だしい。原因究明を一からやり直すべき。ほかに、使用済燃料ピットエリア監視カメラの不調も。今後の予定は、未定。

・高浜4……6/8から5か月の予定で、定期検査中。蒸気発生器細管の検査はとりわけ念入りにして原因を明確にすべき。

・大飯3……2021年7月から運転中。今年8月から定期検査入りか。現在稼働している関電の原発は、この一基のみ。

・大飯4……3/11から定期検査中。電動主給水ポンプミニマムフロー配管からの水漏れ。並列は8月中旬予定が、注記で7月中旬に前倒し。
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 “電力ひっ迫” の宣伝=フェイクニュースの下、予定の前倒しばかりで大丈夫か。もっと需要抑制を考えるべきだ。供給を増やすことばかりに熱中せずに、トータルで環境に優しく、持続可能性のある社会を展望すべきだ。→ ◆電気は足りてる~異常な「電気が足りない」宣伝~

 原発のような巨大な電源がトラブルで急に止まるようなことがあれば、関西ブラックアウト(広域全面停電)の危険性がある。トラブルが、放射性物質の放出を伴えば、パニックとなる。福島なみの事故が起これば、国際観光都市・京都はお終い。

 巨大な電源がいくつもあっても、実際は一基しか動かすことができない現状をみても、原発は安定電源とは言えない。検査のたびに不具合が見つかり、定期検査期間も一定しない原発は、とうてい信頼できる電源とは言えない。

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◆関西電力 闇歴史◆064◆

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◆大企業で相次ぐ製品不正(2022年報道)
 原発も無関係ではない!~火災感知器、変圧器、発電機など大丈夫か
 関電は関係ないのか

 【付 部品メーカーが次々と原子力事業から撤退 】
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日本フェンオール…2013年9月~20年10月の間、火災感知設備(火災感知器、中継器)の品質検定で不正を繰り返していた。合格を取り消された約1万台のうち、6割が原子力発電所に納められていた。背景には、原子力規制委員会が火災対策の強化を求め感知器の需要が高まったことがあるという。規制委などによると、東京電力の柏崎刈羽原発で計3,595台、福島第一原発で計430台、九州電力玄海原発で計2,030台、日本原子力研究開発機構大洗研究所で18台が設置されている。2022/4/27新聞報道。

三菱電機系統変電システム製作所赤穂工場)…原子力発電所や鉄道会社などに出荷した変圧器で不正をしていた問題で、漆間啓社長は4/28の決算会見で謝罪。1982~2022年3月に出荷された8,363台のうち、3,384台で出荷前の試験で虚偽のデータを記入するなどの不正があったと発表。一部は稼働中の原子力発電所でも使われている。関電の原発では、高浜で5台、大飯で5台、美浜で1台。なお、品質不適切行為の件数は、第1報(2021年10月)、第2報(2021年12月)で判明した47件に、今回(2022年5月)の第3報で101件が加わって累計148件となり3倍に増加。調査完了は2022年秋まで延期されている。

日本製鋼所(子会社の日本製鋼所M&E)…2022/5/9、発電所の重要設備であるタービン関連製品をめぐり不正があったと発表した。顧客が求めた基準を満たしていないのに虚偽の検査データを記載して出荷していた。不正は、1998年から今年2月まで約24年間にわたって続いていた。発電所のタービンや発電機の軸に使われる「ローターシャフト」と、発電機のコイルを固定する「リテーニングリング」という2種類の製品の不正行為で、原子力発電所、火力発電所で使用。なお、M&Eは、原子炉圧力容器部材、蒸気発生器部材、使用済燃料輸送・貯蔵用キャスク部材、一次冷却系配管材などの原子力発電所向け部材も製造している。

 2022/11/14、日本製鋼所は、製品検査の不正に関する外部調査委員会の調査報告書を公表し、子会社の日本製鋼所M&E(北海道室蘭市)が製造した鉄鋼製品の品質検査で計449件の不正があったと発表。このうち原発関連の製品では20件の不正が確認されたが、国内向けは1件。放射性廃棄物を保管する容器の底板で、納入前だったので、原発では使われていないとしている。

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関電の言うことは、だいたい決まっている。
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「原子力発電の特性・リスクを十分認識し、立地地域、立地周辺地域、消費地域において、社会の皆さまの疑問・不安に向き合い、共に考えていく姿勢で引き続きコミュニケーションを展開し、頂戴したご意見を当社のリスクマネジメントに活用することで、更なるリスク低減に繋げていきます。」
といったところだが、もっとも欠けているのが、「社会の皆さま」とのコミュニケーションだ。

「40年超運転に対する社会の皆さまの疑問・不安に向き合う双方向コミュニケーションの展開」は
「オピニオンリーダー訪問、説明会、各戸訪問を精力的に展開」となり、結局は、原発立地地元における有力者訪問、全戸押しかけ訪問となる。反対派との討論などのコミュニケーションはない。

「社会の皆さま」と言えば、消費地域の市民とのコミュニケーションがまず第一に思いうかぶのだが、そこに不信感をいだく目から見ると(→ ◆048◆)、
原発にも関連する大企業の不正問題に、何も反応しない姿勢で良いのか。
関電は、幅広いコミュニケーション能力に欠けているのではないか。
関電のコミュニケーションは、著しく偏っているのではないか。

【付 部品メーカーが次々と原子力事業から撤退】
▼「はんげんぱつ新聞」(2022年5月20日)

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